“広い視野と強固な軸をもった研究者として”

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氏名:
松本 大亮(まつもと だいすけ)
進路:
博士課程への進学
所属:
東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 生命理工学系専攻 博士課程1年
(GA参加当時:東京農工大学大学院 工学府 生命工学専攻 博士前期課程2年)
研究内容:
生物ゲノム中の特定部位のDNA配列を改変できるゲノム編集に用いる酵素の開発
GA参加理由:
国際学会での発表に備えて英語力を高めるため

現在の進路(博士課程への進学)を選んだ理由を教えてください

もともと大学受験の時から研究職を意識していました。当初は受験勉強に対するコンプレックスから、勉強で勝てなくても研究で上位の大学の学生に勝てないか、という負けず嫌いな発想がきっかけでした。しかし、大学院に進学してからは遺伝病患者の治療技術であるゲノム編集に関心をもち、「遺伝子によって定められた運命を変えたい」という思いで研究に取り組むようになりました。それからは博士課程に進学することしか考えていませんでした。

GAでの経験は進路選択や将来に対する考え方にどのような影響を与えましたか?

GAに参加したことによって、自分の視野が広がったと思います。これまで研究ばかりしていた私ですが、より社会のこと、世界のことに目を向けるようになりました。GAで私は最年長の学生でしたが、優秀な後輩たちがたくさんいることを知れたのもいい経験でした。彼らの中には留学や海外によく行っている方が多かったので、私自身も海外に行くことに対するハードルは以前より低くなったと思います。GAに参加する前の私は、海外に行ったことがなかったため、自分には縁のないことだと思っていました。しかし、GAで海外研修に参加させていただき、海外に行くことがそこまで他人事ではなくなったような気がします。

進路以外にはどのような影響がありましたか?

GAの参加目的であった英語力についても,グローバル・イングリッシュの講義や海外研修を通じて英語力が上がった実感があります。ただ、単なるスキルの向上よりも、英語を話すことが楽になったという精神的な影響が大きいと思います。GAに参加するまでは、「完璧に話さないと伝わらない」という固定観念をもっていたため、それがかなりのストレスになっていました。GAの講義の中でずっと、完璧に話そうとしなくて良いと言われ、今は断片的でもいいから伝えようとするように変わりました。現在の研究室には留学生がいるのですが、そのような断片的な英文でも十分通じています。

今後、海外に行くチャンスがあれば、積極的に掴みにいきたいと考えています。他文化圏の方とお話しすることで、自分の視野をさらに広げることができると思いますし、世界の見方も変わるのではないかと思うからです。そこから、新たな課題発見や新しいものを生み出すきっかけがつかめるような気がしています。

GAでの取り組みの中で印象に残っていることを教えてください

GAで最も印象に残っている経験は事業開発のグループワークです。私はグループのリーダーとして、3つ以上学年が離れている下級生と上手くコミュニケーションをとり、彼らが積極的に意見を言ってくれるようになるにはどうしたらいいか、という事をずっと考えていました。そして、チームをうまく機能させるためにはコミュニケーションや信頼関係の構築が大切であることを知ることができました。また、グループワークを進めていくなかで、みんなでそれぞれの意見を出したり、各自で調査したものを持ち寄ったりして、新しいものが生まれていくことも印象的でした。

GAでの経験を今後どのように生かしたいですか?

グループワークでの経験から、異分野の人とコラボレーションすることで、新しい価値観や思考回路が生まれることがわかりました。私は研究者を志望していますが、研究もチームで行うことが必須です。今後の研究生活において、様々なバックブラウンドをもつ人とよい信頼関係を構築し、新たな研究領域を開拓できるように、GAでの経験を生かしていきたいと思います。

そのためにはまず、自分の軸をもっていることが大切だと思います。自分は何ができて何ができない、何が正しいと思って何が正しくないと思うかなどをはっきり言えること。信頼関係を作る上では、やはり自分の強みと弱みを見せ合えないといけないと思っています。強みを知っているからこそ、それを活かせるし、弱点を知っているからこそ、お互いがそれを補い合える。さらに言えば、他人の考えを尊重できる余裕があるくらいの強固な軸だといいのかなと思います。自分の軸をもっているからこそ、この人は自分と違うなという意識が芽生えると思います。ただ、それを切り捨てるのではなくて、そういう人もいるのだな、くらいに思えるほどの強固な軸をもちたいと思います。

今後の抱負を教えてください

現在、博士課程の1年生ですが、企業に行くのかアカデミアに行くのかなどはまだ決めていません。ただ、自分が今研究をしているのは、遺伝子によって定められた運命を変えたいからです。それには倫理的な問題も関わってきます。今後は研究者として、自分の技術の利点や危険な点と向き合いつつ、一人でも多くの人が幸せになれるような技術を開発したいと思います。

GPP参加(希望)者へのメッセージをお願いします

人生は一度きりです。自分がその人生の中でどう生きたいのか、今まで自分が生かされてきた社会にどのように貢献していくかというのを考えながら大学生活を送るのが良いのではないかと思います。日本にいれば、なんとなく敷かれたレールに乗っていけば生きていけると思います。ただ、それも楽をして子孫を残そうとする遺伝子に操作されているのかなと思います。自分の人生なら自分で動かしましょう。それに伴う苦しみや挫折は人間にしか味わえないものだと私は思います。その一歩がGPPへの参加なのかもしれません。参加者の方はこのプログラムで得た仲間を大切に、そしていいライバルとして競い合ってください。競争は良い方向に利用すれば良い進化を生むものだと私は思っています。